【完】ヘタレな彼氏
あたしが好きなのはただ1人…彼だけ。
さっきから女の子の輪の中に埋もれてこっちを不安そうに見ている優(ゆう)。
長い前髪が顔を隠して表情は見えないけど雰囲気が“不安”だといっている。
「俺をふるのはあいつがいるからか?!」
優を指差す。
「…そうだったらなにかある?」
「君みたいに綺麗な人があんな弱々しい奴と付き合うのは間違ってる!」
「そうだ、お前には俺が似合ってる」
口々に言う彼らに便乗して周りの女の子たちも言ってくる。
「そうだよ!玲菜さんには根暗よりも竜太君たちの方が似合ってるよ!」
「私達玲菜さんなら許せるの!」
あたしなら許せるってなに…別に許してもらおうなんて思ってもない。