閉じたまぶたの裏側で
「芙佳は結婚したくないのか?」

「どうかな…。誰でもいいとは思わないけど、いずれはできたらいいかなってくらいの願望はあると思う。」

「なんかおぼろげだなー。」

「経験ない事に飛び込むのは勇気がいるし、慎重になるものでしょ?應汰には結婚願望はあるの?」

「そうだな…。相手にもよるかも。」

應汰はジョッキのビールを飲み干して、近くにいた店員を呼び止め、おかわりを注文した。

「相手にもよるって…どういう事?」

「例えばだけど、舞に結婚する気はあるかって聞かれた時、正直この子とは考えられないって思ったから、まだ先かなって答えたんだ。」

「なんで考えられないの?」

「うーん…結婚して一緒に生活してる画が思い浮かばないというか、想像できなかった。なんとなく現実とか見えてない気がしたから。」

「あー…なんとなくわかる。」

舞は実家から通っている事もあってか、生活費に苦労した事はなかったのだろう。

持ち物はいつも割と高そうなブランド物が多かったし、仕事の後も同僚の若い子たちと連れだって、オシャレなレストランで女子会だとか、金銭感覚はあまりなさそうだった。

「結婚して生活やってけるのかな?」

「そこだよ。料理もまともにできないのに結婚して専業主婦になって、旦那に甘えようとしてる感じだった。」

應汰は結婚相手には厳しいのか、それなりの理想があるみたいだ。

完璧な奥さんを求めているとまでは言わないけど、彼女と奥さんは別。

そんな気がする。




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