閉じたまぶたの裏側で
昼休み、社員食堂の前でばったり應汰と出会った。

「あ、久しぶり。」

「おー、久しぶりだな。」

應汰は当たり前のように私の隣の席に座る。

「最近どうしてた?」

「仕事忙しかった。会社辞めた後輩の取引先を引き継いでな。おかげで…。」

「またフラれた?」

「なんだ、知ってるなら言うなよ。」

「今朝の朝礼で聞いた。」

「そうなんだよな…。俺が結婚はまだ先かなって言ったら、他の男にあっさり乗り換えたよ、あの子。付き合って3ヶ月で結婚も何もないだろ?」

「わかったわかった、ホラ、これやるから絡まないで。」

おかずの皿に唐揚げを乗せてやると、應汰はため息をつきながらそれを口に運んだ。

「子供じゃねぇっつーの…。」

でも食べるんじゃん。

「芙佳、金曜飲みに行こう。奢るから。」

「金曜ね…。」

金曜に会いに行ってもいいかと勲がメモに書いていた事を思い出した。

少し考えていると、應汰は不服そうに音をたてて味噌汁をすすった。

「なんだよ…。友達がフラれて落ち込んでるってのに、芙佳は彼氏とデートかよ…。」

彼氏じゃないし。

デートでもないし。

「いや…大丈夫だよ、金曜ね。應汰の奢りなら遠慮なく飲めるわ。」

「おう、飲め飲め。そんで俺のために一緒に泣いてくれ!」

「女々しいなぁ…。」


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