可愛いなんて思ってない!




「ハタおはよう…って、げ!!
何そのクマ!!」

「あぁ…ユカリおはよ…。」





結局

今日もよく眠れずそのまま登校。



そんな俺の顔を見てユカリが
引き気味に笑う。

そんな引かんといて
俺も俺で自分が可哀想やねん…。





「ちょ…秦山!何その顔!調子悪いの?」

「っ、小林…!!」





そして次に登校してきたのは
あの噂の"小林"。

調子悪いって…

誰のせいで調子狂っとると思ってんねん!!




と内心思いながら
大丈夫!大丈夫!と返事をするも…





「大丈夫じゃないでしょ!
ほら、顔ちゃんと見せて!」

「っ---?!」






そのまま小林は俺の前までやってきて
椅子に座る俺に合わせて屈み

両手を俺の頬に…って




(は、はいっ-------?!?!)




ちょ、ちょ…待った!
か、顔近い顔近い!!

あれ、まつ毛めっちゃ長い…ってちゃう!!



つか、そんな前屈みに来られると
む、胸…!胸見えて---!!





---------ガタンッ!!





「っ!!ちょ、秦山?どこ行くの?」

「ほ、保健室やアホ!!」




俺は堪らなくなって
勢い良く椅子から立ち上がり

小林の手から抜けて
急いで教室を出る。





「…ハタ顔真っ赤だったね。」

「うん、やっぱり熱でもあるのかも。」












(な、何やこのドキドキ…!!
何やこの顔の熱さ---!!)





俺は保健室に向かいながら
熱くなってる頬に手を当てながら

片手で顔を仰ぐ。



落ち着け俺…!

あれは、善意や!善意!


小林はあんなん他の誰に対しても
仲良うなったら当たり前---




-------ズキッ





(…あれ、何か心痛い。)





小林が他の男に同じように
顔近づけて
前屈みになって胸チラつかせて心配してたら…何か嫌や。


え?待って…これって…





(って!!だからちゃうって言ってるやん俺!!)




こ、こんなんただの親父ごころや!
娘の巣立ちが寂しいだけなんや!!!



てか胸チラつかせて心痛いって何なん?!

俺ただの変態やん?!






------ガラガラ…



俺は保健室の扉を開けて
中に入って先生に1限寝かせてもらおうと頼んだ。




もう考えるのやめよ。

寝よ、そうや寝よ。
最近寝不足やし、うん。




そう思って俺はベッドに寝転がって
布団を被って横を向く。






………。





(……さっきの態度、あかんかったかな…。)





アホは、良くなかったよなぁ…

後で謝ろ…




あれ…何か眠たなってきた…あれ…あ、れ……







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