鬼の双子と新選組

時雨は土方さん達と同じ感じで居てほしい。
どちら側でもないのは私だけで良い。
芹沢さんの過去も、本性を知って殺すのを躊躇ってしまう弱い奴なのは、私だけで充分だ。

「…なぁ、火雨」
「ん?」
「…芹沢さんと火雨ってさ、なんか似てるよな」
「は…?」

私と芹沢さんが似てる…?
疑問に思い、訝しげに時雨を見る。
私を見て、苦笑しながら話し始めた。

「お前がさ、神殺しをして掟破りをしただろう?」
「…あぁ」
「その時さ、お前は芹沢さんみたいに嫌われ役を背負っていただろう?…本当は俺を殺そうとしたあいつ等が怒られなきゃいけないのに、俺を助ける為に、その神達を殺してさ…その後も嫌われ役として、神殺しをし続けてさ…そして、神の世から…高天原から追放された」
「……懐かしいな」

ぼそりと呟く。
いや…そうする事しか出来なかった。
でも、私は芹沢さんと同じではない。

「姉さん」

そうやって私を呼んだのはいつ振りだろう。
時雨が私の事を『姉さん』と呼ぶのは、いつも大事な事を話す時だ。

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