君のいる世界
2年前
 
 ガラガラとキャスターの付いた台が、おじいちゃんの部屋に運び込まれる。

 さっき来た看護士さんが、点滴の交換のために部屋に入ったのと入れ替わりに部屋を出される。

 糖尿病を患っていたおじいちゃんの点滴バックは、高栄養の黄色いバックで点滴台から吊り下げられている。赤い文字が毒々しい。


「ラインの整理をします」


 そう言って部屋に入って行った看護士さんは、何本も何本もあるシリンダー注射器と繋がれた点滴のラインが絡んでしまわないように整理してくれて、体を拭いてくれる。

 シリンダー注射器は点滴のように落とすのではなく、一定の時間で中味を押し出す役割をしていて、点滴のように短時間で落とすものではないようだった。


 おじいちゃんはずうっと高熱を出して、ベッドに寝たままで、意識もうっすらとしかないようだった。熱にうかされたおじいちゃんに話しかけても、うっすらと目を開けて頷くくらいのリアクションしか返ってこない。

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