想い続けて・・・
「あきらめちゃダメよ。もう少し頑張りなさいよ」

玉砕した日の夜。

同期の友人にヤケ酒を付き合ってもらう。

彼女も私と同じように入社当時から想っていた相手がいて、去年、ようやく想いが伝わったのだ。

一足早く想いが実った彼女の言葉に、諦めようとしていた気持ちが揺さぶられる。

「苦節5年、アンタの想いが本物だってこと見せつけてやりなさいよ。あきらめたくないんでしょ?」

「うん……」

「まだ、好きなんでしょ?」

「うんっ……!」




新たに想いを強くしたあの日から1年。

一年前と同じ会議室で、私はようやく彼から聞きたかった言葉を聞くことができた。




「君には負けたよ。完敗だ」

「じゃあ……!!」

「ああ、君の気持ちを受け止めよう。ただ、まだ正直、僕にメリットがあるかはわからないけどね」

「……また、結構ヒドイこと言いますよね……」

「じゃあ、やめる?」

意地悪な顔で微笑む彼をまっすぐ見据え、私も微笑む。

「やめるわけ、ありません。やっと実ったんだから。絶対にあなたにメリットがあるってこと、思い知らせてやりますよ」

「あぁ、期待しているよ」

その言葉に胸が高鳴る。




やっと実った恋。

勝負は、これからだ!






【辞令】
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