その一言を聞きたくて
2.変わり始める過去
夢ではないという事は、これは現実。
とはいえ、それは友樹の記憶の中にある過去の光景であった。

高校の制服を着た自分が、かつての親友の大輔と共に帰宅をしている。
陽の傾きからして部活帰りといったところか。
そして、大輔は何かを言いたげにこちらを見ている。
まさしく大輔と最後に過ごしたあの瞬間だった。

言葉にするならば、
過去へとタイムスリップをした。
という事になるのだが、無論そんな夢物語を信じれるはずがなかった。



い、いや。
また今度伝えるよ。じゃあな。

友樹が考え込んでいると、大輔はそう言い残し逃げるように走り去っていった。

あの時と全く同じセリフ。
間違いなくあの日と同じ時間が流れていた。

という事は…ま、まずい!

過去の誤ちを思い出した友樹。
その足は無意識に走り去る大輔の方へと向かうのであった。

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