ただし××な意味で【完】
「好きです」
「うん」
「性的な意味です」
「うん……うん?」
「正直私、内原さんのこと下心なしでは見れません」
見るからに動揺して余裕な表情を崩した内原さんは、ゲホゴホとむせ返って口元に手を当てた。
「ちょっと待て」
「待ちません」
油断してると、舐めてると、痛い目見るんですよ! 私のこと、いつまでも子供扱いされちゃ困るってんです!
心の中で高笑うけど、ほんとは私もそんなに余裕があるわけじゃない。
隣に座っていた内原さんの前へ回り込み、こちらへ焦った顔を向ける彼を正面からじっと見つめた。
「内原さん」
「……え?」
「失礼いたします」
「え、――うお……っ!?」
内原さんの肩に抱きつくように体重をかけて、彼の体を押し倒せば、二人一緒に、綺麗に整っていたふかふかのベッドに沈んでいく。
内原さんのお腹の上に馬乗りになって、その逞しい腕を全力で押さえつけた。
「待て待て待て待て、ちょ、落ち着けすみれ」
「内原さんには、私のこと女として見て欲しいんです! 性的な意味で!」
「なにアホなこと言って……オイ」
キスでもしてやろうか、と迷ったけれど、微妙に顔を赤くしている内原さんが可愛すぎて邪な気持ちはどこかへぶっ飛ぶ。
ただ上から、彼を見下ろしていられるだけで幸せだと思った。