wish
何度か続く呼び出し音が耳元で機械的に鳴り続く。

やっぱりやめようかと耳から少し離したときだった。


『…もしもし』

少し様子をうかがうような友香の声が電話口から聞こえてきた。

今まさに切ろうとしていたので、声を出すタイミングを逃してしまい、話さずじまいに硬直する。

でも、何か言わないと、と少しだけ口を開くが、声は出てこなかった。

だが、


『…もしかして、昇？』

友香がそう聞いてきた。

まさか分かるとは思っていなかったので、言葉にますます詰まってしまった。


「…なんで分かったの？」

ためらいがちに聞くと、友香の元気な声が返ってきた。


『やっぱり昇だ。少しだけ、声が聞こえたから』

「そっか」

『でも、なんで急に？あっ、ってゆうか番号！』

「三田が無理矢理、教えてくれた」


恵利子の今日の行動を思い出しながら、ふてぶてしく答えると、友香から笑い声がこぼれた。

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