さくらの檻の中で。(仮)



「こないだのテスト
返すよー!」

そんなりっちゃん先生の声に
教室はざわざわしだす。


英語の授業中
1年の頃の復習ってことで
急にバリバリのテストがあったのだ。



抜き打ちだったとはいえ、

「凪ちゃん、さすがね」

「いえ…」


100点の解答用紙。

英語に関しては
あたしが真面目だから
とかじゃなくてーーーーー



「わっ、櫻井さん満点!」


え。

ひょこっとあたしのテストを除いた
女の子が声をあげた。


それも、クラス中に聞こえる音量で…。

「櫻井さん、ほんと?」

メガネをかけた、いかにも秀才!
ってかんじの男の子にも
声をかけられる。

「う、うん…」


その男子生徒の答案は98点……

…惜しかったね、うん。



自分の点数に
なんやかんや騒いでいる声の中に

“櫻井さん”というワードが聞こえるから
なんだかいたたまれない。
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