さくらの檻の中で。(仮)


ギシ…

ゆっくり隣に座ったのに
やっぱり軋んだ音がしてしまう。


「なぎ、緊張してる?」

ゆっくりした動きをするから
そう見えたのだろう。

「ちょっと、ね」

ちょっと照れたように
笑いかけると

「……ん」

優しく唇が触れ合う。


「…するの、怖い?」

悠真は、
言葉を選ぶように
あたしの顔色を伺う。


…ほら、きた。


「…はじめて、だから
そりゃあ、ね」


あたしは簡単に
嘘をつく。

< 33 / 239 >

この作品をシェア

pagetop