さくらの檻の中で。(仮)


賑やかな雰囲気の教室を
黙って見守る。


こういう行事は
あたしみたいな地味なのが
しゃしゃり出ていい場所じゃない。


流れに身をまかせるだけ。

余計なことを言えば叩かれ、
批判をあびる。


…それがあたしの中学時代の教訓のひとつ。


「じゃー次、100メートル走!
男女2人ずつ〜」

「んーーー、これは
足の速さがそのまま出るよね〜」


体育祭は、
体育授業の披露の場、ということで
うちの高校では
こういう普通のガチ種目がある。


盛り上がるっちゃ
盛り上がるんだけどーーー

「あ!櫻井さん!!!」



「えっ?」


な、なんでしょう???


「中学、陸上部だったよね?!」

「え、あー…まぁ、一応…」

「体育の100メートル
何秒だったっけ?」


「えーと…14秒くらい?」

おぉーー
なんて声があがるけど。




現役で陸上部の人でいいじゃん!


なーんてね。

……もちろん、言えっこない…。
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