朱色の悪魔

「っ…あは、は…」

なんで、生きてるの?

なんで、生かされてるの?

なんで、こんなところで死ななきゃいけないの?

なんで、私なの?

なんで、化け物になったの?


なんで?


誰でもいい。だから、教えてよ…。

苦しいよ。悲しいよ。怖いよ。辛いよ。虚しいよ。

なんで、なんで私なの?なんで、私は、普通じゃないの?

「っ…うあ…うわぁぁぁあああ!!」

怖い。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない、死にたくない死にたくない!!!

誰でもいいから、助けて…。

泣き叫んだ。涙で身体中の水がなくなってしまうんじゃないかってくらい。泣き続けた。

なのに、誰も来なかった。留榎兄さんも、華月組の誰も来なかった。

後で知ったことだが、この時、私がいた場所には爆弾が仕掛けられていて、証拠隠滅と共にここは焼き尽くされるはずだったらしい。

だから、誰も来なくて当たり前だった。そして、私は、殺処分で決定したのだ。だから、この作戦を伝えられていなかった。

誰もいない場所で泣き続けた私は、いつしか涙も枯れて床に倒れた。

限界、だったのかもしれない。

霞がかっていく視界と、どうしようもない 死の恐怖を抱きながら、意識を手放した。
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