円満破局




「俺はもう、笑花を手放せないよ。
これからずっと求めるし、求めて欲しいとも思ってる」

「……うん」

「こんな俺でもいい?
笑花が思い浮かべてた俺とは違うけど、それでもまた、俺を彼氏にしてくれるの?」



何度も繰り返し言った、はるくんへのこの気持ち。

ねぇ、はるくん。

変わってなんかいないんだよ。



「いいに決まってるよ……っ」



君の〝好き〟の表れが嫌なわけない。

決まってるんだよ、……出会った頃からずっと、ずっと。



自分で自分のことをずるいって。

最低だって言って、卑下している君のことをやっぱりわたしはすごいと、わたしとは違うと思う。

ても、その違いごと、だめなところごと、丸ごと全部好きだと思うよ。



ふたり、すれ違うこともある。

知らない自分も君も、きっとまだいる。

逃げ出したいこともある。



それでも、もう大丈夫なんだ。



こんなにも、君を想っているから。

だから大丈夫だよ。



「……嬉しい」



そっとはるくんが素直に気持ちを口にする。

まるで好きだと言われてるみたいだと、思った。



「わたしもだよ」

「うん」

「わたしもはるくんの隣が、嬉しい」



えへへ、とはるくんを見上げた。



不安になんてならないでね。

わたしはもう君から離れたりしないから。



だって君が、わたしの世界一なんだ。

誰にも負けない、大切な人。






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