奪うなら心を全部受け止めて
呼び出し

・先輩、高木優朔


「おい、千。知ってる?」

俺らって授業ちゃんと聞いてんのかな…。

「…んだよ。前、向いとけよ」

「とうとうらしい」

「だから…まず主語、それから述語だろ」

「今、現文とかじゃ無いけど?」

「ショウの話の事言ってんだろ?アホ。お前が話振ったくせに」

「でした。谷口佳織ちゃんと先輩、つき合い始めたってよ」

「へぇ。良かったんじゃないか?」

「やっぱ、あれだよ。千のお悩み相談が効いたって事じゃないのか?」

「…。お悩み相談とか、変に軽く言うな。…真面目に話したんだから」

「解ってるって。俺をちーと待たせたんだよなー、あの日は確か」

「…根に持ったような事言うなよ。待たせて悪いと思ったから、謝っただろうが」

「おう。アイスの奢り付きでなー」

「お前が誠意を見せろって、コンビニでアイス奢らせたんだろ?強制的に」

「そうだったっけ、か?」

「まあ、いいよ。お前には言葉の誠意より物だって、解ったから」

「ええ?両方セットっしょ、普通、やっぱり」

「解ってる。んで、順調そうじゃないのか?」

「なんで?」

「お前が話持ち出して来るって事は、なんかあるんだろ?」

「流石だな、千。やっぱ俺らの仲だな」

「どんな仲だ…」

「だけど今回は、まあ、ブーッてとこかな」

「ぁあ?」

「何も。イジメとか、酷い噂流されるとか、何もない。至って順調。ま、それが逆に事件ちゃ事件かもな」
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