それが伝え方なのです



喉が渇いてけほっと咳き込む。のろのろと瞼を開けるとぼんやりと自分の部屋の天井が見えた。


うー…体ベタベタする。それで喉が渇きすぎて引っ付いてる感じがして痛い。



「み、ず…」



体が水分を求めている…けどだるくて体を起こすのが億劫すぎる。動きたくない。けど水ほしい。


ころりと体を横向きにするとちょん、と唇に何かが触れてそれに焦点を合わせるとストローのようだった。


無意識に咥えると冷たいものが体に染みて行く。これは、りんごジュースかな?熱で味覚がおかしくなっているのかあまり味がわからない。


こくこくと気がすむまで飲むとストローから口を離す。火照っていた体が少し冷えて、寝ていたのもあってかちょっと頭がスッキリしたような気がする。



「んっ…ありがと、おか、」



お母さん、と言おうとして視線を上げてわたしはあんぐりと口を開けたまま固まった。ごしごしと目をこすってみるものの目の前の光景はわたしの見間違いでもなんでもなく現実らしく。


ん?と首を傾げてわたしを見る姿に恐る恐る口を動かして。



「静、くん…?」



これは夢だろうか?静くんに会いたいとか考えてたからとうとう幻覚でも見るようになったのか??





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