完璧上司の秘密を知ってしまった件について
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、キーホルダーを奪い返そうとする凛だが、185センチもある秋夜に手を上げられては、取り返すこともできない。

「…美雨にあげよ。…はい、鍵」
(ムキーッ!)

鍵だけを返され、凛は秋夜を睨んだ。

「無駄にデカすぎ!美雨ちゃん好きなの?」

美雨ちゃんは、バカ兄貴…秋夜の彼女。めちゃくちゃ可愛らしく、凛を本当の妹のように可愛がってくれる人。

「あー、うん、集めてんだと」
「ふーん…じゃなーい!返せ‼︎そんな物くらい、買ってあげなよ!2、300円なんだから!」

凛の言葉に、またしても秋夜がニヤリと笑った。


「…それくらいなら、ほら、これやるから、また買ってこい」

と、秋夜はポケットから500円をだし、凛に握らせた。




「そういう問題じゃなーい!」

結構レアなシロモノ。なかなか手に入らない。

「新(あらた)に怒られる〜!」

凛の言葉に、秋夜がピタリと止まった。

「な、なによ?」
「お前、新意外に、男いねぇの?」
「う、うるさい!新は友達なんだからいいでしょ⁈」

三好新(みよしあらた)24歳。高校、大学、就職先まで、腐れ縁の凛唯一の男友達。

「ふーん、…友達、ねぇー」

「…ちょっとあんた達、いい歳した大人が、いつまでしよーもないケンカしてんの?さっさと入って来なさい。晩ご飯下げちゃうわよ」

呆れ声の母の声に、秋夜と凛は、慌ててダイニングに向かった。
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