Mr.ハードボイルド



退院からしばらくして、俺は再びニーナとともに、オフィスHBサービスの仕事を再開させた。
まっ、すっかりいつもの日常に戻ったわけだ。

因みにあの鹿島看護師さんの大告白があって以来彼女には会ってはいないが、木下先生には俺の足の経過観察のために病院で会うことはしばしあった。
だが、その後の彼女とのことは話題にはあげなかった。

まぁ、いい大人のすることを根掘り葉掘り訊くのは、俺の趣味じゃねぇしな。


「ねぇ、トミー、お流れになってた、例の焼き鳥屋に今夜行かない?」

ニーナが俺に訊いた。

「おっ、悪くねぇなぁ!たまにゃ、美味いもの食って、愛について語り合うとするか!」

俺の言葉に彼女は吹き出して笑った。


その夜、ニーナのオススメの例のコジャレた焼き鳥屋でワイングラスを傾けていると、知った顔のふたりが店に入ってきた。

なんだぁ、心配しなくても上手くやってんじゃねぇか!
よかったなぁ、鹿島さんよぅ。

彼女は心の底から湧き出るような笑顔で、木下先生になにやら一生懸命話していた。
そんな彼女にの話を、彼は優しい笑みで聞いていた。


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