Mr.ハードボイルド



「さぁ~皆様!お集まりくださぁ~い。ただいまより、笹の川商店街協賛の大福引き大会が始まりますよぉ~!」

ちょっとした仮設ステージの上でサンタワンピースを着たニーナが、マイクを持ってしゃべっている。

「なんと1等は52型4Kテレビですよぉ~!他にも最新型ノートパソコンやデジカメ、人気ゲーム機にソフトのセットなどなど、たっくさん当たりますよぉ~!」

今度はニーナと同じ格好をした祐希ちゃんがマイクで煽っている。

おぉ、なかなかやるじゃない、あのふたり!
俺も負けちゃらんねぇな。

俺は近くにいる奥様方にありったけのクーポン券を配り歩いて、彼女たちの財布の紐を緩めさせようと努力した。

あっ、ガキどもが、ニーナと祐希ちゃんのいるステージの真ん前でなにやらやっているぞ。
もしかして……

俺がそう思った時に、その中のひとりのガキがニーナを指差して大声を出した。

「パパ~、こっちのお姉ちゃんは黒いパンツはいてるよ~」

さらに、今度は祐希ちゃんを指差して言った。

「それでねぇ、あっちのお姉ちゃんは白いパンツだよ~」

周囲はそのガキの声に大爆笑をした。
そのガキの親父さんらしき人物は慌ててそいつを抱えて逃げ出した。

ったく、将来大物になるぜ、あのガキ!

ステージ上ではニーナと祐希ちゃんが真っ赤な顔をしてスカートの裾を押さえていた。

別に恥ずかしがらなくてもいいんじゃねぇか?
キレイなサンタさんからのちょっとしたプレゼントってことでよ!

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