意地悪なキミと恋をします。
それから数日というもの、私は見事にぱしられている。
「おい、莉奈!こいっつってんだろ!」
って!
行けるわけないでしょーが!!
最悪なことに、那月海斗は私と同じクラスだった。
女の子達の中では一年の頃から海斗のイケメンぶりは密かに知られていたようだけど、あんまり教室に顔を出さない海斗のことを知る人は少なくて、
それが突然こんなイケメンが揚々と現れたもんだから…
「那月くん〜。皐月さんなんていいじゃん!」
「連絡先交換しよ〜」
「海斗くん、かっこいい〜!」
なんて何度同じ言葉を聞かされているのだろうか。
「海斗って呼ぶな、そんでうざい近寄るな。あと、香水キツすぎ鼻もげる」
うっわ〜!ついに言ったよ。
本性ダダわかり。
これは女の子達も離れて行く…
「「きゃーーー!!かっこいい〜」」
ガクンッ!
イケメンならなんでもありかい!!
「あんたさっきからなにやってんのよ」
ひとりでツッコミのポーズをしていた私に愛莉がつっこむ。
「いやだっておかしいじゃん!あんな冷たい態度なのにさ!なにがかっこいいんだか!」
「まぁ見た目は悪くないんじゃない?」
愛莉が珍しく認めた。あの愛莉が。
愛莉までイケメントリックにかかるなんて!!
イケメンだろうと性格がダメじゃ、この世の終わりだって!!
するとまたもや後ろから低い声がする。
「おい、お前何回呼ばせたら気がすむんだよ。俺を耳鼻科だけじゃなく咽喉科まで行かせる気か」
「ひぇっ!!」
あまりの驚きに変な声を出すと、ジーっと目を薄めて不機嫌そうな顔で見てくる海斗。
「昼飯、食うぞ」
そう言って向かうのは決まって屋上…ではなく、
屋上には入れないので屋上の前のひっそりした階段。
「な、なんで最近お昼一緒に食べんの?…べつに、ぱしりならお昼は一緒じゃなくても…」
「誰がぱしりっつった」
「へ??」
「俺は、俺の言うことを聞けっつったんだ。だから昼飯を俺と食え。以上」
それだけ言い終わると黙々と私の作ったお弁当を平らげる。
むかつくけど、こうして作ったお弁当を綺麗に食べてくれるのは素直に嬉しい。
「そういえば、なんであんたってクラスの女子と喋んないの?あんなに可愛い子たちなのに」
素朴な疑問をぶつけると、少し黙って
「べつに。俺は…
「…あ!!!そうだ!!ごめん!私、日直だったんだ!職員室行かなきゃ!」
「…ん、あぁ、ごちそサマ」
「私から聞いたくせにごめん!い、行くね!」
なんか言いかけてたけど、どうせうざいからとかそんなことでしょ!
「それより急がなきゃー!!」