輪廻の時より今世の常
記憶
人とは
世界とは
実に不思議なものだと思う。
死後の世界、魂が犯した罪を償って次の生を受ける。
でもそれは生まれ落とされた時に全て摘み取られるはずの記憶で、人は過去の出来事を忘れて、魂に従い新しい記憶を刻む。
だが稀に
俺のように忘れたくても忘れられない輩もいるようだ。
「竜之進!悪いっ、待たせたか?」
言葉にしてから気づいたことはもう遅く、彼は困った様に笑った。
「ごめん、竜之介。」
「ううん、気にしないで、拓真」
時代は『平成』。
俺達がいた時代の遥か400年後の世界。
そして彼はその400年前に俺に殺された…
俺の…親友……
この時代では、彼の母親の小説好きから『竜之介』と、なったようだが、俺の知ってる彼の名は『竜之進』という。
(だからといって、竜之進と呼ぶのはな…)
過去に囚われている自分を認めたくなくて、頭を軽く振るが、罪悪感も、疑問も、拭うことは出来なかった。
「どこ行くんだっけ?」
「えっと…」
目を泳がせた彼はまた困った様に笑った。
何も考えがない。
答えは明白だった。
「とりあえずメシでも行くか?」
彼にしてあげたかった約束を果たせば納得できるかもしれない。
罪滅ぼしの下心は重たい腰を上げる活力になった。
世界とは
実に不思議なものだと思う。
死後の世界、魂が犯した罪を償って次の生を受ける。
でもそれは生まれ落とされた時に全て摘み取られるはずの記憶で、人は過去の出来事を忘れて、魂に従い新しい記憶を刻む。
だが稀に
俺のように忘れたくても忘れられない輩もいるようだ。
「竜之進!悪いっ、待たせたか?」
言葉にしてから気づいたことはもう遅く、彼は困った様に笑った。
「ごめん、竜之介。」
「ううん、気にしないで、拓真」
時代は『平成』。
俺達がいた時代の遥か400年後の世界。
そして彼はその400年前に俺に殺された…
俺の…親友……
この時代では、彼の母親の小説好きから『竜之介』と、なったようだが、俺の知ってる彼の名は『竜之進』という。
(だからといって、竜之進と呼ぶのはな…)
過去に囚われている自分を認めたくなくて、頭を軽く振るが、罪悪感も、疑問も、拭うことは出来なかった。
「どこ行くんだっけ?」
「えっと…」
目を泳がせた彼はまた困った様に笑った。
何も考えがない。
答えは明白だった。
「とりあえずメシでも行くか?」
彼にしてあげたかった約束を果たせば納得できるかもしれない。
罪滅ぼしの下心は重たい腰を上げる活力になった。