アンガーコントロール《6秒間の彼》
鬼ちゃん

私はとても気が短い。
すぐにイライラしてしまう。

「佐藤、報告が遅い!」

「すみませんっ」

「加藤、話が長い!要点を言いなさい!」

「すみません!」

短気は損気、とは言うけれど。

どうしても言いたくなっちゃうんだよねぇ。

もうちょっとうまく段取りできなかったの?
どうしてそんな大事な根回ししなかったの!

もうっ!
しっかりしなさいっ!

こんな具合でついつい部下を叱ってしまう。

おかげで私は陰で「鬼のあねき」と呼ばれているらしい。

「……藤井課長」

「んー?内藤、どうした?」

浮かない顔して、絶対良くない報告でしょ?

「なあに?早く言いなさい」

「じ、実は……、BC産業の案、営業二課に却下されてしまって……」

「はあっ!?」

私の声にみんなの肩がビクッと跳ねた。

図体デカい男どもが、いちいちビクビクするんじゃないっ!情けないわね。

「なんで却下なのよ!」

「それが……根拠が今一つ足りない、と言われまして……」

「今一つって何だ!」

「そ、そんな。僕に言われましても……」

「言い返しなさい、そのくらい!」

「し、しかし……」

「チッ!行くぞ!来いっ!」

「……え?」

「私が直接乗り込んでやる!」

部下を叱るだけでなく、時にはこういう事例も発生する。

他の部署へ直接乗り込んだりするから、私はやっぱり「鬼のあねき」なのである。
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