掌
「歩にとって、辛い事ばっかり言ってごめんね。でも、私は歩が心配で……」
心配?
嘘つけ。
所詮他人事だから、健太君に言ったり、達也をけなすような事とか、ひどい事言えるんじゃん。
怒りはおさまって…諦めとも似た落胆が、あたしの真奈美への気持ちを支配した…。
「もうあたしに関わらないで。」
コンクリートを見つめながら、刺すように真奈美に言い放った。
「歩…?」
悲しそうな…今にも泣き出しそうな真奈美の声。
顔は見れなかった。
下を俯いたまま、そんな真奈美に背を向けて
あたしは駅に向かって歩きだした。
この時…真奈美の気持ちは、少しもあたしに届いてなかった……。
それは、あたしが拒んだから。
あたしの中の、達也とあたしを崩したくなくて拒んだから。
もし届いていたら……どうなってたかな…?
今となっては、考えてみても無駄だね。
ごめんね、真奈美……。