我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
彼女にかける言葉というよりは、自分の想い。

その想いが思わず零れてしまった。


「え・・・今、なんて・・・」


零れてしまった想い。

だけど、本当の想い。


「俺はさくらさんに、傍にいて欲しいんだ」


さっきよりも、はっきり力強く言い切る。

これが答えと覚悟の形、だからこそはっきりと伝えなければいけない。

彼女が言葉に詰まるのなら、何度だって言い切る・・・


「・・・信じて・・・信じて、いいんだよね」


「うん・・・信じて欲しい」


答えと覚悟。



それに信じること。



それが二人にとっては、一番大事なことなのかもしれない。


「これが俺の気持ちだから・・・あとは、さくらさんが自分自身で決めることだよ」


「うん・・・そうだよね」


「さくらさんがどんな答えを出しても、俺、信じて待ってる・・・さくらさんのこと」


彼女は泣いているようだった・・・



けれども、今流している涙は、前にここで流した涙とは違う。


「それに、前も言ったじゃないか。何があっても、俺の気持ちは変わらないよ」


「・・・ありがとう」


涙を流しながら彼女は笑い、それにつられてこちらも笑った。



今、二人の心の距離は実際の距離とは違い、すぐ隣にいるくらいの距離だ。

きっと、これからもずっと・・・


「ねえ?」


「何?」


「あのとき言いかけた言葉・・・今、聞きたいな」


「えっ」


あのときの言葉・・・



それは泣いていたさくらさんに必死で伝えようとしたが、伝えられなかった言葉・・・


「あっ、ひどーい。もしかして、忘れてるでしょ」


忘れるはずがない。


「ねっ・・・お願い」


あのときも、今も、これからも・・・



絶対に忘れるはずがない。


「俺は・・・さくらさんのことが・・・」
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