君だけの涙
0涙

プロローグ

「やくそくだよ!」
「うん。やくそく。」
キラキラとオレンジ色に光る十字架。
ここは、どこだっけ。
「ぼくね、うれしいんだ」
「うん?なにが?」
私の目の前でふわりとした笑みをこぼす少年は、手をぎゅっと握ってくると、目を輝かせながら口を開いた。
「だって、チカちゃんまっててくれるんだもん。ぼく、こわくないよ。」
不意にふわあっと吹き上げる暖かい風、思わず目を瞑った。
目を開けた時には、もう、その少年の姿は無かった。
辺りを見渡しても、彼の姿は見えない。
「××くーん?どこー?」
幼い私は、必死に彼の姿を探す。でも、森の中を探しても、いつも現れるこの十字架の付近を探しても、自分の家の付近を探しても、その少年はいなかった。
その時私は、やっと"彼が私の前から消えた"ということを理解したのだ。
思い出した。
あの時私は、あの子に……
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