ロールキャベツは好きですか?

side:祥吾


……なんでこんなことになってんだよ。

俺はため息をついた。

俺の腕には、泣きじゃくる女。
俺の胸に額を押し付けて、嗚咽をあげている。

「泣くなよ……」

通行人の視線をチラチラと感じる。

「とにかく、離れろ……」

その体を引き離そうとしても、彼女は首を横に振るだけ。

俺の目の前で泣き崩れるのは、今度、双山部長と結婚する、向井だった。

「……ねぇ、田島」

鼻をすすりながら、掠れた声を上げる向井。

「……何だよ」

「……私と寝ない?」

「はぁ!?」
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