ロールキャベツは好きですか?

side:祥吾


「あれ?姉ちゃんたちは?」

電話から戻ってきた洋平さんがひとり座り込む俺を見て訊いてきた。

「今、看護師さんに呼ばれて、いきました」

洋平さんが俺の隣に腰を下ろす。

「あれ?それは……」

俺の手の中にある緑色の靴下を見つけて、洋平さんが目を瞬かしている。

「さっき、祈梨さんがコートのポケットから落としました」

「ああ、姉ちゃん。まだそれ持ってたんだ」

俺は初めて見た緑色の毛糸で編まれた靴下。
それは、どこからどう見ても、大人のサイズではない。手のひらよりも小さかった。

「なぁ、田島さん」

「はい?」

洋平さんは、俺を見てニヤリと微笑んだ。

「……田島さん。この際聞くけど、姉ちゃんと付き合ってるよね?」

「…………」

やっぱり気づかれましたか。

「智おじさんから連絡いったとき、夜10時ぐらいだったのに一緒にいるし、今も『祈梨さん』なんて呼んじゃうし」

「……すみません。付き合ってます」

俺が渋々白状すると、洋平さんは苦笑した。

「なんで謝るのさ。姉ちゃんに彼氏できたのは嬉しいよ。しかも田島さんみたいな誠実な人がさ」
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