いちごたると
机に書いたラブレター




せっかく勇気を出したのに。

私ってばほんとに馬鹿だ…





手紙で呼び出すところまではよかった。



でも、

その呼び出した場所まで行けなかった。



足がすくんじゃって、
緊張で震えてきて、

ただの挙動不振になってた。





「…好きって言うつもりだったのにな…」



誰もいない教室で、ぼんやりとたそがれる自分。


ふらふらとした足どりで、大好きな彼の席へと近づく。



「…待ちぼうけさせちゃってごめんなさい…」



机を指先でなぞり、小さくため息をつく。


おもむろにシャーペンを手に取り、
机の片隅にこっそりと落書きをした。




“好き”




彼はこの2文字に気づくだろうか…


気づかない方がいい。

勝手に書いてしまった気持ちに、
少しだけ罪悪感を感じるから。



でもやっぱり、

気づいてほしいという気持ちが、
心のどこかに存在した。





「…帰ろっかな」




落書きした机をそのままに、私は鞄を持って教室を出た。




ばいばい。

また明日。






END.
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop