素直になれない7センチ



ちらりとパソコン越しに彼を覗くと、すっかり大人になった夏目くんが隣の席の人と笑いながら話している姿が見えた。


……彼はもう二十三歳なんだ。

あの頃は十七歳だったのに。

私も歳重ねてるし、当然だけどさ。



夏目くんは弟の友達で中学生の頃から時々家に遊びにきていた。


そして、彼らが高校二年生の頃、弟からお願いをされて少し間だけ同じ大学を志望しているという夏目くんの勉強をみることになった。



四つ違いだったけれど、私たちの関係は家庭教師と生徒。


私はその当時大学三年生で就活もあったし、半年くらいで家庭教師をやめてしまったけれど。






彼のことを未だに鮮明に覚えていたのは、家庭教師最終日————




「先生のことが好きです」


高校生の彼が真っ赤な顔をして私に告白をしてきたから。









< 14 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop