素直になれない7センチ




「三種類くらいサンプル依頼かけたから、今日か明日には届くと思うよ!」

「オッケー! ありがと!」


レストランやファミレス等の飲食店を経営している会社の購買部にいる私は毎日新しい商品を見つけるために奮闘している。

私たち購買部が直接メーカーに行ったり、相談をしていい食材を見つける。そして、メニュー開発の人たちがそれを使用したメニューを考案する。

社内で試食会をして何度も試作と修正を重ねていき、店舗でそれがメニューとして出される。


シーズンメニューにグランドメニュー、そしてイベントメニュー等、息つく間もない仕事だけれど、これはこれで毎日充実している。



「てかさ、新藤ちゃん」

「ん? なに」

「隈、できてるよ? ちゃんと寝てる?」

「え!」


うそっ!気づかなかった。

自分の目元を指先でなぞりながら苦笑する。

朝もギリギリだし、鏡で自分の顔なんてじっくり見てないから隈できてるなんて自覚なかったよ。



「もうさー……仕事も大事だけど恋愛も大事だよ?」

「……だって」

「いつも同じ理由で振られるから、メンタルやられたって?」

「う……っ」






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