都合のいい男
都合のいい男
君の手が好きだ。

ここはオフィスなのに、君はそっと僕の手を繋ぐ。

その温もりに僕は君を好きだって思うんだ。

何気なく、君は僕の手をとる。

そうするのが当たり前のように。


「うーん、どうしようかなぁ」


悩んだときの君のくせ。

君は気づいてるかな?

トントンって指先で僕の手でリズムを取るんだ。

僕はね、君が僕だけじゃないって知ってるんだ。

でも、都合のいい男でいいよ。

君に握ってて貰いたいから。


「あ」


君は嬉しそうに微笑んで僕を抱き締める。

指先が僕の敏感なところに触れた。

あ、ダメだよ、そんな強くこすっちゃ……。

熱が、伝わる。

ダメ、そんな強い刺激、頭が真っ白になっちゃう──。

真っ白になった僕を見て、君は微笑む。

ねぇ、君も気持ちいい?


「最高だね」


君にそう言ってもらえるなら僕も幸せだよ。

そして君はまた僕の手をとる。

また最初から?

もう、仕方ないなぁ。

他のやつにも同じことしてるの、僕は知ってる。

でも、浮気したって許してあげる。

僕は何度でも君を汚れから守るように、白くし戻してあげるから。


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