セカンドパートナー


 初めて並河君としたキスは、ほんのりカクテルの香り。そして、涙の味がしたーー。


 雪が少しだけ降っている。積もるほどでもなさそうな雪。とても寒いけど、気持ちだけはあたたかい。想いだけは、静かに心に積もっていく。

 後悔と喜びの涙。

 そっと唇を離し、並河君は私を見た。知っているようで知らなかった、初めて見る優しい瞳で。

「好きだよ、詩織」
「私も……」

 ようやくつながった想い。だけど、こうなっていることがまだ信じられない。

 お互いの存在をたしかめるように、どちらかともなくキスをした。何度も、何度でも。

 静かだったホームに電車がやってきた。その音で、ようやく私達は離れた。

 切ない恋の思い出と、つながっているたしかな今が、交差する。

「心臓、まだドキドキしてる……」
「俺も……」

 ホームを出て、私達はかつての通学路を歩いた。すれ違った時間を取り戻すように、強く手をつないだ。

 なんだか照れくさくて、並河君の顔を見れなかった。

「なんか、恥ずかしいね」
「だな……」

 並河君も、あの頃より口数が少なかった。

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