パートタイマー勇者、若奥様がゆく
 そうして無事に契約が終了したので、約束通り王子から卵と食材を頂いて、それから王様に感謝の気持ちとして宝石をいくつか頂きました。

 ほくほくしながら帰ろうとすると、王様に頼まれました。

「魔王というのは一度倒して終わりではないのだ。また復活してくるから、このままこの国に留まって我々を助けてくれまいか」

 王子に良く似た金髪碧眼の美青年な王様が、一庶民の私に頭を下げてきます。

 またアレが出てくるのですか。この国も大変ですね。困った王子はヘタレで役立たずですし。

「お給料はいただけますか?」

「今日は急なことであったのでこれしか用意出来なかったが、そなたの望む額を支払おう」

「そうですか……」

 ちょうど今日、将来設計を見直そうとしていたところです。魔王と再び戦うのはちょっと怖いですが、資格も学もない私を働かせていただけるというのなら、願ったり叶ったりです。

「ですが、私は主婦です。夫の帰りを待つ身ですので、長い時間家を空けることは出来ません。パートということでしたらお引き受けしますよ」





 こうして私は、異世界でパートの勇者として働くことになったのです。





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