知らない貴方と、蜜月旅行
お父さんとバージンロードを歩くと、正面には完璧すぎるくらいカッコイイ私の大好きな人がいて、また私が泣くと〝しょうがねぇ奴〟とでも言いたそうに笑って私を見てきた。


「紫月、おめでとう」
「紫月ちゃん、泣きすぎ」
「久未っ、陽悟さんもっ、」


お父さんがいるくらいだから、お母さんと吏仁の両親がいることは想定できた。だけどまさか、久未と陽悟さんまでがいるとは思わなくて、また涙腺が緩んでしまう。


「久未ちゃんは、お母さんが頼みに行ったんだ」
「そっか、」


そうだよね、吏仁が電話番号知るわけもないし、かと言って私に聞いたら変に思うだろうしね。お母さん、久未に会いに行ってくれてたんだね。


「ほら、紫月。吏仁くんのところに行っておいで」
「うんっ、お父さんありがとう」
「あぁ。吏仁くん、娘を頼むよ」
「はい。おいで、紫月」
「うんっ、」


吏仁の目の前に来た時、私の顔はもうグチャグチャだった。鏡を見なくたって分かる。そんな私に笑うことなく、吏仁は涙をハンカチで拭いてくれて、あの時と同じように、十字架の前でお互い誓い合った。


あの時は、小西亮太としてだったけど今は、蒼井吏仁で、こうして誓えるのは吏仁自身も嬉しいのかなと思う。


そして、指輪の交換の時が…。だからジュエリーショップの前に用があるって、言ったんだね。教会に行くなんて、言えないもんね。


そして、吏仁が用意してくれた指輪を、吏仁の手から私の薬指に嵌められた。だけど──


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