知らない貴方と、蜜月旅行
女子なら誰でも大体、予想はつく。小さな箱って言ったら、アレしかないでしょ。これでビックリ箱だったら、まさに本当のビックリ箱だ。


薄いピンクの紐をハラリと、ほどいて上の箱を持ち上げる。すると、やっぱり中にあったのは、私が選んだ指輪だった。


そして、その中に小さな紙切れが入っていて、なにが書かれているのかと、ゆっくり紙を開いてみた。


『……バカじゃないの。何様なのよ』


そこに書かれていた言葉は〝俺から最後のプレゼントだ〟と。この上から目線、どうにかしてほしい。


こんなもの質屋で売り飛ばしてやる!!と、心の中で思ってみたけど、中に名前と日付が入ってることに気付き断念した。こんなもの誰も欲しがるわけがない。


とりあえず、鞄に箱ごとポイッと突っ込み、この部屋にいたくなくて3年間過ごした思い出の家を身一つで出ることにした。


部屋の家賃とか、契約とか、もうそんなもの知らない!勝手にいなくなった、あいつが悪いんだから。


そして私は適当に歩いて、適当な居酒屋に入って、しこたま浴びるように酒を飲んだ。


飲んで飲んで、飲みまくって。お金を払ったとこまでは覚えてる。けれど、店を出た後の記憶がスッポリと抜けていた。


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