知らない貴方と、蜜月旅行
「ねぇねぇ、蒼井さん!」
「あんだよ」
「この子、どうします?」


キラキラした目で俺を見てくる陽悟。ったく、そんな気になんなら連れて帰ってくれ。


「その辺に、転がしとけよ」
「えー、ひどいですってー」
「なにも、ひどくねぇだろうが。外に転がってんのを、拾ってやったんだぞ。死なねぇんだから、いいだろうが」


それより俺はシャワーしてぇんだよ。そんな女に構ってられねぇっつーの。


「うーん、それにしても全然起きませんねー」
「放っとけ」
「このまま、なにしても起きないか試してみます?」
「は?なにすんだよ」


こいつに構ってたら朝になっちまう。そう思った俺は、陽悟の言葉を聞き流すようにし、浴室へ向かおうとした。


「ちょっとごめんねぇ。起きないでねぇ?」
「って、陽悟!てめっ、なにしてんだよ!」


浴室のドアを開け、中に入る前に横目でチラッと見ると、陽悟が女の服に手をかけていて、俺は慌てて陽悟の元へ駆け寄り、手を掴んだ。


「いやー、だって起きないからぁ」
「あのなぁ…。起きねぇからって、女の服に手かけんな!アホか!」


あー、マジで疲れてきた俺。どうしようか。


< 4 / 185 >

この作品をシェア

pagetop