知らない貴方と、蜜月旅行
意味わかんないのは、私のほうだよ!普通、昨日の今日で、会った人の前で脱ぐ!?しかも私、女だよ!?信じらんない…。


「早く顔洗えよ。俺だって洗いたいんだから」
「わ、わかってる!」


結局、こうやって吏仁のペースに巻き込まれるんだ…。そして私は素直に吏仁の言うことを聞いてしまうんだ…。そんな自分が情けないったら、ありゃしない。





「よし、準備できたか?行くぞ」


顔を洗って、出されたおにぎりを食べ、着替えも化粧もして、歯も磨き終わると、吏仁は立ち上がった。


「ねぇ、吏仁…」
「なに」
「本当に行くの?」
「は?今さら、なに言ってんだよ」
「いや、だってさ…。やっぱり、こういうのって、おかしいんじゃないかな…」


何度も言うけど、私たちは出会ったばかりなんだよ。まだ相手のこと、なにも知らないのに、普通はこんなことしないでしょ。


「そうか?べつに、おかしいなんて思わねぇけど。ほら、行くぞ」
「………」


おかしくないって…。でも、普通に考えたら、おかしいよね?私がおかしいの?なんて考えてる間にも、吏仁は部屋の鍵を持ってコッチを見ていた。


そんなわけで、べつになんとも思っていない男(ひと)と、2泊3日の長旅に出掛けてきます…。


< 53 / 185 >

この作品をシェア

pagetop