金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
変わりたいって思うから



金曜日、りっちゃんはメモの内容を素直に受け止めて、私の傘を使って帰ったようだった。



さっき、ありがとうって折りたたみ傘を返された。



りっちゃんはやっぱり



「何の用事だったの?」



なんて、聞かない。




でも、その方が、より一層私の胸に訴えかける。



...多分、琴子今日は早く帰っちゃったんだ、くらいにしか思わなかったんだろう。



私がりっちゃんをどう思ってるかなんて、きっと考えもしない。



でも、私は確かに、自分がしたことだって自分自身の気持ちだって、誰よりもよく分かっているから。





『今年は梅雨明けが早い見通しです。』





朝のテレビで、気象予報士がそう告げた。





いくら私が、苦しんで、まだなお心の整理を出来ずにいようとも、






確実に、時は過ぎて季節は回っていくということ。



< 30 / 130 >

この作品をシェア

pagetop