ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました

微笑む気持ちで声した方に振り返れば、ゲノゲさんが警笛鳴らすようにコンニチハーを連呼。

警笛を鳴らさずとも分かる。見るからに盗賊ルックな男三人組が、私を下品な笑顔で見ていたのだから。

「……、こんにちはー」

「ギャハハ!女一人でだなんて、襲ってくれと言っているようなもんだなー!」

ゲノゲさん以上に会話が成立しない盗賊だった。立ち向かうように短刀を構えてみたけど、あちらは口笛を鳴らして、サーベルを向けてくる。

余裕綽々とした面持ちは、私を決して逃しはしないと言っているようなものだった。


「コンニチハー!」

「オハヨー!」

「コンバンハー!」

三匹のゲノゲさんが、それぞれ挨拶タックルを盗賊たちにお見舞いしたが、手で払われただけで遠くに吹き飛んでしまった。

身がないふわふわ物体だから、物理攻撃は効かず、飛んだだけで大事には至らないけど。

「なんてことを……!」

見るからに私を助けてくれようとしたゲノゲさんたちに酷いことをした盗賊たちに憤りを感じる。あそこはゲノゲさんの可愛さに、ウワーヤラレターとなる場面でしょうに!

「あー、刃向かうってか?」

「優しくしてやんねーぞー。ねえ、お頭!どうしちまいます?」

「……」

お頭の取り巻き二人は区別つかないが、威圧感ある巨体のお頭はじっと私の方を見て。
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