キミに想いが届くまで。





「莉子」


そうやって呼ぶのが精いっぱいだった。


みんながいる時には梅ちゃん。

2人の時には莉子って呼ぶ。



莉子もみんながいる時は三浦くんで、2人の時は奏汰くんって呼んだ。


距離が縮まっていくのが自分でも分かる。



だけど、それ以上近づくことができない。




「今日の20時にいつもの公園で会える?」


「うん」




学校で、いつものように4人でいる時。


順平と白石が騒いでいたらそうやってこっそり約束していた。




誰にも内緒で2人だけの特別みたいでそれがまたドキドキさせる。






電話も親にバレないように夜遅くにしたり、夜に家を抜け出して会ったり。



それが楽しかった。


これ以上近づけないのに、自分をコントロールできなくて近づきたくなる。




莉子を困らせたくないのに、この気持ちを口に出してしまいたくなるんだ。


4人でいる時間が幸せと言う莉子の幸せを俺が壊しそうになるのが怖い。






「奏汰くん!」


「大丈夫だった?」


「うん」



20時、いつもの公園。

莉子と2人きりの時間。





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