2人きりのティータイムは、苦くて甘い。
笑顔

課長手ずからお茶を二度も淹れさせてしまったのが申し訳なく、自分の気配りが足りないと気を重くしながらマグカップに口をつける。


すると、鼻に抜けるような爽やかな香りとミントより甘みのある味わいが、ほんのりと心を軽くしてくれた。


「ジャスミンティーだよ。朝にぴったりだろう?」

「はい」


なんとなく、心が洗われ軽くなる気がする。課長は机に置いたもののフタを開いてたけど。

油性マジックで【さどう】と名前をでかでか書かれたものは……大きなプリンだったから。思わず噴き出してしまった。 たぶん、給湯室の冷蔵庫に入ってたものだろうけど。それにしてもあれだけ食べられたくないって自己主張。

「……笑うな。朝に糖分を摂らないと頭が動かねえんだよ」

課長は乱暴に言い訳をした後、プラスチックのスプーンでプリンを食べるけど。どこかいじけて見えて、ますます可笑しかった。


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