あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
第十章

結婚式

 思えば、出会ってからずっと私は小林さんに好意を持っていた。それがいつしか誰にも代えがたい大事な人になっていたのはいつのことだろう。その境目がいつかは分からないけど、小林さんの優しい思いに、力強さに私は惹かれた。

 
 そして今は…。私にとっては『一番好きな人』だった。伸ばされた手は優しいだけでなく、強さで私を守りながらも未来へと導いてくれる。これはこれからもそうであって欲しいと思う。


 私は今日、一番好きな小林さんのお嫁さんになります。


 フランスから帰国して半年後のことで、天気は小林さんの名前を表すかのような青空だった。突き抜けるほどの青さを持った空には雲一つなく、澄み切っている。控室の窓から見える空を私は見つめていた。そして私はこの窓から見える空をきっと一生忘れないだろうと思う。

 
 ずっと好きだった人と結婚できる私はとっても幸せだと思う。フランスから帰国してそのまま連れて行かれた教会の控室に私はいて、あと一時間もすれば結婚式が始まる。神社での白無垢での式もいいとも思ってけど、あの時、小林さんの熱い思いを聞いた場所で私も永遠の思いを誓いたいと思った。


 身に纏うのは真っ白なウエディングドレスで私の記憶にある一番新しい記憶はフランスでのキャルのウェディングドレスだったけど、比べると明らかに飾りが少ない。それでも私にとってはかなり頑張った方だった。同じ白でも白衣とドレスは全く違う。


 ドレスとかを着るのが恥ずかしいので一番シンプルで飾り気のないドレスを選んだのは変われない私だった。

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