怨み赤子
いない人間
真治が教室へ入ってきた瞬間、クラス中は静まり返った。


クラスメートたち全員が真治へ向けて攻撃的な視線を向けていることに、誰もが気が付いていた。


真治はその視線から逃げるように、自分の席へと向かう。


その途中で教とすれ違った。


「教……」


真治が名前を呼ぶ。


しかし教はあからまさにそれを無視し、あたし達の輪の中に入ってきた。


真治は1人その場に立ちつくす。


このクラス内で自分という存在が否定されているのだと、悟ったのだろう。


自分を守るための嘘を並べ立てる事ができても、こうなってしまった以上どうすることもできないようだ。


真治は黙って自分の席に座り、いつも通り漫画を取り出して読み始めた。
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