怨み赤子
宿題が出ていた数学の教科書とノートを取り出して机に広げる。


「え、その宿題今からするの?」


カナミが驚いたようにそう聞いてくるので、あたしは「そうだよ」と、返事をした。


朝の時間は全部潰れてしまうけれど、すっかり忘れていたんだから仕方がない。


そう思い、シャーペンを手に持った。


「その宿題すっごく難しかったよ? よかったら見せようか?」


カナミがそう言っている間に、あたしは一問目を解き終えていた。


「難しいかな?」


小首を傾げてそう言うとカナミは「嘘でしょ」と、呟く。


夏休み前のテストに向けてとびきり難しい問題になっているらしいけれど、あたしはスラスラと問題を解いていく。


「月乃ってそんなに数学得意だっけ?」


驚いてそう聞いてくるカナミにあたしは首を傾げた。


「どうかなぁ? 普通じゃない?」


そんな適当な返事にカナミは苦笑いをした。


「今度数学教えてね」


カナミがそう言うと同時にホームルームが始まるチャイムが鳴りだしたのだった。
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