唯一愛した君へ





噴水は。


冬になると寒いから、あんまり好かれない。




そこの周りは跳ねる水を避け、少し離れている人ばかりだった。




噴水にだんだん近付くと、久しぶりの…水の音は、思いがけず心地良かった。





――初めて出会ったのは。


ここで……。



煙草を蒸しながら、興味さなそうにこっちを見ていた。



そこに、あたしは惹かれた。

理由はわからない。
けど、どうしようもなく。




その姿を追い求めたの……。
















ハッ…と。

息を飲む程の瞳。



それはあの日と、何の変わりもない。




あたしの恋い焦がれた人。









――――――……真っすぐ、視線が重なった。







< 208 / 389 >

この作品をシェア

pagetop