唯一愛した君へ
so badly




荒れ狂う嵐が、あたしを掻き乱して、奴へと引き付けていく。



そう、直感した。



「優梨っ!一体どうしたのさ!?」



気付いたら、ナンパしてきた奴らもいなくなっていた。

あたし…今ちゃんと呼吸してた?

生きているんだから、そうなんだろうけど、それすら覚えていない。

この数秒感が、曖昧だ。



「えっ?」


「珍しいじゃないっ!自分から近づいてくなんて…っ」



ああ、そうだった。
連れがいたことを今思い出した。

美桜が慌てたように聞いてくる。



「そう?」


「そうよ!だって優梨、あのときから…!」


そういいかけて、美桜は言うのをやめた。

あたしに気を遣っているんだろう。



美桜の言いたいことは分かっていた。

あいつのことだ。




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