プリンセスになりませう!?
「…えっ マサ子様 

今日の便、それも2時間後の出発ではありませんか!?」

「大声を控えなさい」

目を見開き動揺を隠せない葵に、はしたない、とマサ子がピシャリと跳ねつける。


「あなたはいかなる時も愛華お嬢様のご願望を最優先いたしなさい

葵ごときにタクシーを使うのは、身分相当でありませんが

事情が事情ですので呼んでおります

直ちに行ってお役に立ちない」


簡単に言うか、葵にとって海外旅行は初めてで国内線にも乗ったこともなく

ピンとも来なく・・・


「な、何を持って行けば…?」


「お嬢様のお着物に決まっております

今し方のご連絡でしたので葵の用意はしておりません


ですが、それで十分

パスポート、旅券、お金があれば事足りる事です」


いきなりで狼狽える葵とは対称に冷酷に言いいるマサ子は

『今すぐ行かないと遅れます』、と特大のスーツケース2つ分の着物を渡され

門で待機していたタクシーに乗り込まされた。



Aユニオン航空のエコノミーは1時間前が最終チェックインだが

ファーストクラスとビジネスクラスは出発45分前まで受け付けをしている。

葵の到着はまさに受付終了ギリギリだった。


全席満席でも常にVIP乗客用に空けているため葵にははファーストクラスを用意されていた。 
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