陽のあたる場所へ



月曜の朝は、朝礼がある為、いつもより早く家を出なければならない。
月曜というのは、ただでさえ休みボケで朝起きるのが辛いのに、いつもより早い出社なんて、つくづく酷な話だと思う。


満員電車から一斉に吐き出された人達の大群が、そのまま朝の鋪道をひしめき合いながら急ぎ足で進んで行く。

その隙間を縫っての疾走は、まるで障害物競争みたいなものだ。

歩くだけでも汗が滲む季節は過ぎたものの、これだけ全力を出せば、やはり汗も出る。 
業務開始前からメイクが崩れるなんて最悪だけど、そんな事を考えてる場合じゃない。

いつも余裕を持って時間配分する事を心掛けて来たつもりなのに、悔しい限りだ。



よりによって、今朝に限って寝坊してしまうなんて…

今日は、朝礼で新社長の挨拶があるというのに…。





地下鉄の駅から必死に走って、やっと会社のビルに辿り着き、ロビーを駆け抜けると、丁度降りて来たエレベーターに飛び乗る。

目的の階に着き、ドアが開くのももどかしく慌てて降りると、海野沙織(ウミノ サオリ)は会議室のドアまでダッシュした。


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