陽のあたる場所へ


「あぁ、吉沢か…。…ん?柳川孝明の接待?」

「はい。担当が海野先輩から僕に変わるんで、挨拶がてら二人で」

「あぁ、そうだったな」

「でも…」


料亭の廊下で、電話をしながら、吉沢が後ろの個室を振り返る。

作家の柳川孝明が、机の上に酔っぱらって突っ伏していた。
突然、ガバッと起きると、グラスの中の冷酒を一気飲みする。


「先生、飲み過ぎですよ。もう帰りましょう」

沙織が柳川の手からグラスをそっと取り、背中をさすっている。

「だからさぁ…海野さんが続けてよ。頼むよ。ねぇ、沙織ちゃん」

柳川が沙織の手を握り絞め、沙織はその手をやんわりどけようとしながらも、逃れられず苦笑いを浮かべていた。


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